炊飯器と人の一生 (その5)
おじさんには 彼に対して
もう一つ 心配があった。
”オイ まさか サラ金に
借金は 無かろうね?”
”・・・・・・・・・・・”
やっぱりか
一番目に就職した所を 辞めたときに 食うものも無く
2・3箇所 借りたと言う。
聞けば そんなに大金には 成っていなかったが
元金金利払いで 結構大きくなる 途中であった。
全部の サラ金の場所と 電話番号と 金額を
もって来るように 伝えた。
彼は 地獄の一丁目に 指しかかっていた。
理由が つかめず どぎまぎする 彼に おじさんの地声が
呻った。
”今は 黙って 俺るが 言うごっせェー!”
何処か おじさんを育てた養父の 言葉にも似て しゃがれた
海の匂いのする声であった。
今は おじさんは 青年に隙間を 与えず 高圧的に
押し捲る事にした。
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