炊飯器と人の一生 (最終)
ちょっと おじさんの回想も
長く 成ってしまったが
端折って 言えば
それ以来 青年は
実に 素晴らしい
現実と 夢と・仕事・生活を
学び取っては
10年も 経っただろうか。
いや 私にとっては
逆に たった 一日の事で
長い間 30歳前まで たいへんな束縛を 背負わせて
しまった事に 気が付いたのが 10年も経ていた。
青年も 節目だと思ったのか 卒業を申し出た。つらかった
弟のように 知らず知らずの 内に思い
仕事では 居なくては成らない 存在に成っていたが
おじさんは 気丈に高笑いを見せては 彼に 会社を
辞める事を 許可した。
思えば 長い反省と 努力の青年であった。
たった 一日の悪行の償いが 10年も かかってしまったが
勿論 サラ金返済はおろか 預貯金まで在っての退社に
成った。
聞きたく無かったが ”親父さん お世話に成りました”の
言葉まで 置いていった。
青年よ 君は誰よりも素晴らしく 誰よりも 輝き美しい
誰よりも 青年であつたと 伝えたかったが おじさんの気性では
心で 叫ぶ意外に 無かった。
それから 結婚式の案内が来るのにそう時間はかからなかった。
それが 落ち着いた頃に彼の会社の 3周年の記念パーテーの
案内が さらに来た事も 泣きながら読んだ事も 思い出す。
夢のような 話ではあるが これが現実で おじさんが長年
少年や 青年達に 関わりながら 問い続けた 良い例の
現実で ある事を付け加えておきたい。
関連記事